ベター・コール・ソウル　シーズン６を見終わりました

いきなりオチの話ですが、ブレイキングバッドの終わりと比べると割と地味な印象で、あそこまで大きなカタルシスはありませんでした。

ですが、あそこまで完璧で派手でいかにもラストらしいラストになるような経緯はあまり辿ってきてはいないし、同じ様な終わり方を二回はやらないだろうなあと思いつつも、一筋縄ではいかない予想できない展開も多く断定はできないので最後の最後までずっとハラハラドキドキしながら見ていました。

そもそも成り行きや色々な事情はあったとしても数多くの悪事を行ってきた悪党の話でもあるので、完全なハッピーエンドにはなり得ないだろうし、なったらなったらでそれもちょっと引っかかるだろうしで、行ってきた悪事とそれに伴う結末の悲惨さと救い的なバランスはどのくらいの配分になって、最後の結末の落としどころはどの辺になるのだろうかとかなり気になっていたのですが、個人的に考えつく限り一番納得感のある綺麗で良い終わり方だったと感じました。かなり破滅的な結末も十分あり得るかもと思っていたので。

最終的にはジミーもちゃんと過去にやってきたことと向き合って、キムもそれに寄り添う元さやの形になったのは、十分ハッピーエンドの範疇ではと思いました。ラストは少しあっさり気味な感じだったので蛇足になるかもしれませんがもう少しブレイキングバッドのキャラが出てきたら個人的にはもっと嬉しかったです。タバコとライターの火の演出は最高でしたが。

刑期にジーンの時の犯罪の分は加味されているのかなとふと気になりましたが、単に自分が見逃しているだけかもしれません。

前回でソウルの正体がばれた時に一線を越えるかなとハラハラしましたが、結局それ以上の事態にはならなくて本当によかったと胸をなでおろしました。

と言うのも殺人をするまでの悪党になるとさすがに後味が悪すぎるしバッドエンド直行コースの安易な形になりそうだし、イメージとしてもそこまで悪に振り切れているキャラでもなかったので、道中なんだかんだとありながらも悪役にはなり切れない最後までどこかお人よしで心根が優しいジミー像が守られたのは単純に良かったなと思いました。

途中チャックの回想シーンが出てきて思ったのが、お互いもう少し歩み寄りがあったらもっとマシな形の弁護士生活になって多分ハワードも死ななかっただろうしなあと漠然と考えました。

大分前のシーズンの話なので細かいところは忘れていますが、チャックは優秀だけど堅物でなんだかんだと人たらしで母親に愛されていたジミーを羨んでいたし、ジミーもジミーでチャックは頑固で自分は認められていないと思っていたし、その互いのわだかまりが解消されないと結局どこかの地点で決裂はするのかもしれません。

それにしても前回主人公の二人が出てくるとやっぱりテンションが一気に上がるというか、理屈っぽいウォルターの名調子は健在で全然変わっておらず凄く懐かしくて、エルカミーノとはまた別として数年ぶりにウォルターの新しいセリフが聞けただけでもう満足というかジェシーの新しいシーンも見られたしで大満足でした。

もしかしたらジェシーのその後の話が出てくるかもとちらっと思いましたが、残念ながらそれはありませんでした。

なんにせよブレイキングバッドとは対照的に静かだけど余韻が長く続くような終わり方も含め最後までばっちり楽しめました。

コメディとして始まったような感じでコメディ的な終わり方。あるいはバイオレンスな感じで破滅的に終わらせることも出来たと思いますが、一見地味だけどいつまでも心の中に長く余韻が響くような綺麗な終わり方になったのは、ここまでずっと追ってきた視聴者たちのこのドラマに対する期待値の高さ、求めるものの多さ故かなと勝手に思ってます。

個人的な話ですが、ブレイキングバッドをはじめて見たのがベターコールが始まってから（確かシーズン２か３くらいの時）だったので、最初から追っていたという訳ではありませんが、なんだかんだと四～五年前くらいからずっと新しいシーズンが出るのが毎年の大きな楽しみでした。

個人的に人一倍ドラマなどの続きが凄く気になる性格で、すぐに続きが見られないとかなり苦痛に感じたものでしたが、このドラマのおかげでかなり忍耐力が鍛えられました。

笑えたり泣けたりハラハラしたり、ちょっとした台詞にぐっときたり、深読みしたくなるような、はたまた考えさせられるシーンもあったり。興味が常に高いレベルで持続するような見どころがいっぱいある本当に続きが気になる出会えて良かったと思えるドラマで、無事最終回を迎えた今制作陣の方々に心からの感謝を伝えたいぐらいです。

また少し時間を置いて余韻が引いたら、シーズン１から改めて通して見ようと思っています。

ベターコールもエルカミーノ的な二時間作品が出たら嬉しいですね。