物語を入れる理由としては
・ゲームへの没入感を上げる
・ステージクリアへの動機付け
・ステージクリア時の達成感
・プレイヤーにそのステージごとにどんな問題があって一体何が敵で、どのような攻撃を仕掛けられているかを理解してもらう
・またその問題や攻撃に対し、どのような反撃や対策が有効なのかを想像したり考えてもらう
・物語を通してプレイヤーにこのゲームの根底にあるテーマ、嘘を暴く。嘘のネタ明かしの面白さというものをそこはかとなく感じ取ってもらう
この辺りのひとつかふたつでも達成できれば御の字といったところですが、単に普通の読み物として楽しめるものになれば尚良いと思います。
嘘というテーマから思いついたエピソード候補
次はお話の候補を考えます。どれも暫定的にぱっと考えたものなので、よく考えたらもっと適したものがあるかもしれません。その中でもっともしっくりしたものを選びました。
ステージのはじめに導入として最初に読むストーリーと、ステージクリア後にそれがどのような変化が起きたのかのクリア後のストーリーの二部構成になっています。
・ステージ1~2あたり(古代~中世ステージ)
『貧しい村と集めたお金の話』
<話の大まかな流れ>
・導入
あるところにとても貧しい村があった。
せめてもう少し余裕のあるまともな生活を望んだ村人たちは村で生産している作物の生産量を上げ、余ったものを他の村や街に売り新たな収入を得ればよいと考えた。
その為には今より効率的に作業が出来る新たな道具やより収穫量の多い作物の種が必要だったので、村人全員は寝る間も惜しんで必死に働き、なんとかそれらを買う為の資金を集めた。
しかしそのお金を託され街へと品物を買いに行った村の役人は、以前よりも値段が上がっていたと嘘をつき、ほとんどのお金を自分達の懐へ入れてしまった。その結果収穫量はほとんど増えず村人たちの生活は依然苦しいままだった。
・プレイヤーの勝利後(ステージクリア後)
急に羽振りがよくなった数人の役人の様子に不審に思った村人たちは、街へ値段を調べに行き役人の説明が虚だったことが判明する。
一時耐え忍べば、より豊かな生活が待っていると期待していた村人たちの怒りは凄まじく、集めたお金を盗んだ役人の屋敷へと詰めかける。
役人の身を守るべき者もこの横領の被害者だった為大半の者は職務放棄し、役人とその家族はその場で処刑される。
処刑されたその遺体は埋葬されることなく、長期間公衆の面前で無残な姿をさらし続けていた。
<この話のねらい>
この物語のねらい。主に伝えたいこととしては、プレイヤーにリソース管理の大事さやそれを扱う責任の重さと怖さ。結局は数がものをいう、というだけの単純なものです。また次のステージへの布石としての役割も付与しました。
それにしても最近五輪汚職が霞む程のかなりの騒ぎになっている問題もそうですが、現代でもこの公金・税金を盗む行為は頻繁に横行しておりしかも改善されるような気配がほとんどないように見えます。
この問題がいつになっても無くならないのは結局のところ、ばれても罰則が緩くやったもの勝ちになっているのが大きな原因のように思えます。罰則があってもそれ以上に儲けたらいいし、世間体や批難はほとぼりがさめるのを待てばいいだけなので。
本来皆を豊かにするもの。皆にとって必要なものに使われるものがこういった悪党の手に渡り、更なる悪事を行う為の資金源となって悪事を助長するとなると行き着く先はその場自体。その仕組み自体が成り立たなくなる訳で、つくづく世の中や社会は良心とモラルがないと成り立たないもので、悪党にかかるコストというのは相当に高くつくものだと認識させられます。
・ステージ3あたり(中世ステージ)
『増税の話』
<話の大まかな流れ>
・導入
ある都市の為政者達はより多くのリソース(主にお金)を民衆から集める為、大幅な増税を考えた。
その都市に住む大半の住人は決して豊かではなかったので反対の声も多く紛糾したが、結局増税は断行された。
民衆の為政者に対する不満と不信感はピークに達し、ついに為政者の入れ替えの気運が高まりつつあった矢先にその都市で幼い子供を標的にした凄惨な連続殺人事件が起こる。その事件の猟奇性。異常性に住人たちは恐れおののいた。
連日のように住人達は毎朝もたらされる事件の続報が載った新聞を奪い合うように読み、一日も早い事件の解決と真相の解明を待った。
社会不安から増税のことなどすっかり忘れ、為政者におもねる者も徐々にあらわれはじめる。
・プレイヤーの勝利後
事件を細かく調べていた者たちが、辻褄があわないいくつか部分。不可解な部分があることに気が付く。
やがて彼らは公式に報じられている内容と実際に起きたこととの決定的な違いを示す証拠を掴み、為政者達がこの事件の演出部分に深く関与していたことにまでたどり着く。
かくしてすべてのことはすっかり暴かれ、犯人ともどもこの事件に関与した為政者達は裁判にかけられ罪を償わされた。
<この話のねらい>
敵陣営は結局数で勝る大衆に力で押し負けてしまうというステージ1の反省を生かし、よりいっそう大衆の世論誘導や意識コントロールに重点を置くようになるということで、このようなものにしました。
芸能スキャンダルなどは他の重要なものを覆い隠す為の煙幕と昔からよく言われていますが、まだ大半の大衆が煙に巻かれやすい段階ということを示すのと共に、相手側の手法が一段階上がったことを感じ取ってもらえればいいなと、このようなお話にしました。
それと時代が進んで地味に私刑ではなくちゃんと裁判になっています。
ここまでのまとめ
敵(相手)側の基本の思考ルーチンとしては、集合知と数で勝る大衆をいかに上手い嘘で騙してコントロールするかということに腐心しており、年代が進むごとに段階的により巧妙に様々な方法で大衆からリソースを吸い上げてきます。
これをプレイヤーはうまくいなし相手側の影響力を削ぎ、人類を次の5世紀分の発展と繁栄へと導きますがこのような完勝ステージクリアだけではなく、なんとか滅亡は回避され人類を存続させる痛み分けクリアも用意した方がゲームとしては難し過ぎることなくなり無難なように感じます。
次回は?
次回は今回に引き続き、ステージ4と5のストーリーを考えていく回となる予定です。