連載企画 第9回  ゲームの中に盛り込みたいお話の内容を考える その3

2023/03/31

制作連載企画2023(ゲーム原案)

引き続き各ステージの導入としてのお話を考えていく回です。今回はステージ4の現代最後のストーリーを考えていきます。


・ステージ4ラスト(現代ステージ)


改めての説明ですが、後半戦であるステージ4と5はお話にするとかなり複雑なものになりそうなので、大まかな骨子の解説だけになります。

ストーリー3(後半):『政治屋』


・お話の大体の流れと骨子としては

日々世の動きや色々な政治家の判断を見聞きしていますがその中で、国の運営というはひとつの船にも例えられそうだとふと思い付きました。
国民は乗客というよりかは航行の為に必要な様々な仕事を担っている乗員で、舵取りしているのが所謂政治家や官僚という形です。

つまり乗員達の全員の命運はそれらの舵取りにかかっている訳で、荒い運転すれば怪我する人もでるし、下手すれば投げ出されて命を落とす人も出るように、どういう方向に向かおうとしているのかしっかり監視しなければ自分の身が危ないということです。
これが選挙時などによく言われる「政治に無関心でいられても、無関係ではいられない」という言葉が上手く言い表しているように思えます。

では実際上手く舵取り出来ているのか、おかしな判断を下していないか。評価できるものなのだろうかと言ったらどうにも怪しいものがある現状になってしまっているのは何故なのか。下手で危険な運転しか出来ないのにやたらにハンドルを握りたがるものがいるのは何故なのか、という疑問をプレイヤーに投げかける形の導入話にしようと考えています。

・プレイヤーの勝利後(ステージクリア後)としては

いきなりネタバレしてしまうのもつまらなくなりそうですが、要は乗員の利益を最優先にしていない。乗員の代表ではないものが舵取りしているといういびつな形が問題というだけの身もふたもない話で、それらがどう排除されるのか次第でお話自体の面白味が変わるのは間違いないので、ここは改めてしっかり考えていきたいところです。

・この話のねらい

ステージが進むごとに段階的に嘘のレベルが上がって、いよいよ現代に入りかなり歯ごたえが出てきたことを実感してもらった所で、その締めくくりは少し毛色を変えて身構えているプレイヤーの死角から不意をつこうというねらいの変化球ステージを想定しています。

お話の発想のきっかけ

最近地方選も近いので割とホットな話題でもありますが、以前にそういった候補者がパネリストという形で集まってそれぞれの主張と考えを披露する公開討論会の中継(統一地方選挙の時だったと思いますが)を聞いたことがありますが、候補者によって言葉のチョイスや具体性。説明の解消度にかなり違いがあって興味深いなと思ったことがきっかけです。

あくまで例えばですが、駅前のある公共物に使われている部材が、その効果に見合った値段ではないのでここはカットするなり予算を削って他のもっと優先順位の高い市民のQOLに直結するものに回すという「ああ、あのことか」と聞いている人の頭の中にイメージしやすい具体的で、すぐにでも実行出来て効果が出そうな案を出す人もいる一方、なんだかテレビ(特にNHK)で騒がれているような話題ばかりを問題視しているテレビ脳になっているいかにもなことばかりで、一見聞こえがいいだけの具体性に欠ける曖昧な言葉でしか話せない人もいたりしました。

結局政治といっても一旦集めたリソースをどこにどれくらい分配するかという単純な話で、堅実に財源収入を増やす考えやしっかりと眼前の現実を見据え地に足のついたある種の経営者的な目線やセンス。数字を扱う技量が不可欠なんだなとこの時改めて感じました。

市民はこういった玉石混合の候補者の話をもとに誰に投票するのかを決める訳ですが、これってなんだか会社の面接に似ている部分があるなと感じました。つまり候補者が面接を受ける学生で、それを判断するのが市民という構図です。

面接で100点取る学生が100点の仕事をする訳ではないし、あらかじめ面接うけをする受け答えや立ち振る舞いを完璧に身につける面接特化的な方向にばかり力を入れるのは違うとは思いますが、その努力すらしない。

例えば身なりもまったく整えずにだらしない恰好で面接に来るとか、志望理由を聞かれた時に「家から近いから」と答えてしまうようななんで受けに来たんだろうと思わんばかりの無作法なレベルのあるキーワードを安易に口に出してしまう人もいたりしますが、市民の安全やQOL向上にはまったく貢献しない候補者をある程度ふるいにかけるのにはいい指標になっているのかもしれません。

そういった危険なキーワードはいくつかありますが、限られた時間での主張の中でその話題をとりあげたということは、まさにその候補者が限られた予算の中で何に使おうと考えているかの優先順位そのものと取れると思います。

情報リテラシーの重要さ

そのキーワードは大体の場合SDGs等の一見意味が分からない胡散臭いアルファベットの頭文字の羅列とセットで「海外では常識」「海外では当たり前の取り組みだ」「この問題に取り組まないのは配慮がない、良心がない」という同調圧力的な言い方が含まれていることが多いですが、それが果たして喫緊の課題なのだろうか、他を犠牲にして優先順位の上位にくるものなのだろうか。というようなものを安易に口にしてしまうのは、その問題にどういう背景があるのか。

誰がどういう意図で推し進めているのか。その結果どういった深刻な問題が起きているか。といった必要不可欠な情報すら収集できていない情報リテラシーの低さも問題ですが、多数の人が関わる重要なリソースを取り扱う責任の重さに対する感受性と意識・認識が著しく欠けている。単にその仕事に従事する為の能力が足りないといったらそれまでですが、情報収集くらい努力でカバーできる範囲なので、それさえも無頓着でそもそもの資質が無いだけなのかもしれません。

このような主張は大体において言い分はどれも立派ですが、実際は必要なところにはリソースは届かない。熱心に主張する割にその効果やフィードバックに興味がない。旗色が悪くなると逃げる。責任を取らない、など。まるで底の抜けたバケツで水やりをするような無駄なことを繰り返してばかりで、はなからまともに取り組む気がないのは明白なので、まず何よりも先に穴を塞がないと意味ないのでは? と疑問を投げかけるのはナンセンスなのかもしれません。

そうなると結局目的が単に金と席の為。あるいは利益を共にするものの為というだけの話で、具体的な政策の話が出来ないのは、履行できなかった時に批判されるからだけの逃げ道のひとつなんだなと理解しました。

国政も基本的には同じで国民の立場に立って自国民の利益と安全を最優先にするのは当然な筈ですが、一体どの立場でものを言っているのだろう、一体誰の利益の代表なんだろう、一体どこを向いているのだろうと思わずにはいられないことばかりで、結局話す言葉のチョイスと熱の込め方でどこの代弁者かが分かるという単純な話なんですが、現在五公五民という目も当てられない状況になってしまっているのはほとんどの政治家が自国民に目を向けていないという証拠で、そういう皮肉も込めてこのタイトルにしました。

最近も開き直って国民に対して挑発を繰り返す立ち位置が不明な大臣等は評価する以前の問題で、まともな政策立案能力すらないものや内応者同様に分かり易いですが、ナショナリズムを装って煙に巻こうとするものもいたりするので、なかなか高度な観察眼を要求される選挙というのは人の本質を見抜く一種の訓練にはもってこいなのかもしれません。

サブタイトルは「株式会社の国」

こうした常に自国民に厳しい方向にばかり。実際にリソースを収めている当人達から批判されるような方向にばかり舵を切るのはなぜなのか。非常に目からうろこが落ちる言説を聞いたので、それを盛り込みたいと思いこのサブタイトルにしました。

その言説とはつまり国というのは会社組織のようなもので、しかも質の悪いブラック企業であるという話です。つまり国民は薄給でこき使われるだけの単なる使い捨て労働力で、生み出した富はほんの一握りの上級役員と外部である株主で分け合ってしまい、実際に汗水たらして労働に従事する社員には還元されないという不健全な構造です。

これが行き過ぎた結果が今まさに起きているフランスの100万人を超えるデモやイスラエルではないかと思います。
また、アメリカに次いで世界第二位の農産物輸出国である世界の食糧庫と呼ばれるオランダでも酪農家や農民たちも理不尽な政府の環境政策に抗議の声を上げていますが、人が生きる為に欠かすことができない食料を、昆虫食の強引な展開を含めごく一部のものがコントロールしようという動きもまた近年顕著に見られるのも強い危機感を抱きます。

次回は?


次回はいよいよ最終ステージとなる未来で、どういうお話を入れるかを考えていく回となりますが、しばらく書いていなかった雑談記事になるかもしれません。



自己紹介

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個人サークル「elh(エル)」及び所属制作サークル「future extra」にてオリジナルの電子書籍作品、ヴィジュアルノベル、RPGなどを作っています。 無料作品もありますのでお気軽にどうぞ。各作品の詳細及びダウンロードはelhのサイト及び各サイト様へのリンクにてご案内しております。 ハンドル名の由来は映画『2001年宇宙の旅』のHALプログラムを簡略化したものです。

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