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『クロニトロニカ #4 Aftermath』 (elh文庫) | halom
あらすじ
シナリオライターが書いた台本に従いアストラル下層へと潜った朝顔はやがて何も無い海岸にたどり着く。
そしてその広漠な砂浜を超えその先にある答えを知る。
《作品解説》
オリジナルノベルソフト制作サークル「future extra」によるオリジナルビジュアルノベル作品『chroni tronica』(クロニトロニカ)完結作品。巻末に作品解説と既刊案内あり。
《目次》
1.セイレーン
2.ボイド・ポイント
3.結節点(ノード)
4.空白の海岸
5.惑う星
6.閉じた箱庭
7.クロニクル
あとがき
ビジュアルノベル版のご案内
既刊案内
奥付
著者による簡単な内容紹介
最終巻かつこの作品の最後ですのでせっかくだからというのと、伝えたいことが全部詰まっているということから、あとがきをまるまる全部を掲載することにしました。
テーマの変更をせず、当初の予定よりもより深いものに迫ろうとした結果、第二部から急に難解な内容になってしまった反省はありますが、その挑戦の結果当初よりも満足のいくものになったというのと、テーマとタイトルの意味の回収が自分なりに納得のいく形にできたことに満足しています。
第一部の半分までのビジュアルノベル版と、それに少し内容を付け加えた一番最初の巻は無料の電子書籍で読めますので、まだ読んだことの無い方もよろしかったら是非どうぞ。
あとがき(本書掲載分)
この度は本書を手に取っていただき誠にありがとうございます。
本書の中でどこかしらの部分で少しでも興味深い箇所、または楽しんでいただける箇所があったのなら、筆者としてこれに勝る喜びはありません。
ご感想などありましたら是非お気軽に巻末の奥付に記載されておりますメールアドレスや、出張所ブログのメッセージフォーム。あるいは当サークルのelh(エル)のホームページのウェブ拍手からも簡単に送れます。
と、いつものご挨拶が済んだところで、これまたいつものようにこの本の概要を書いていきます。
まずは今回のものが#3の後半ではなく#4と巻の区切りを変更したことですが、これは前半・後半と分けると一見どっちが先でどっちが後か分かりづらくなってしまうかなと思いましたので、ぱっと見で分かり易く#3の後半を次の#4と数字を変え最終巻としました。またこの巻の区切りの変更に伴う内容の変更は一切ありません。
こうして結局元の四部構成に戻してしまったという、最後の最後で少しばたばたとしてしまいましたが、無事この作品を完結まで導くことができたことが今は何より嬉しいです。
なにせ作っている本人が完結しないんじゃないかと何度も思ったくらい長い時間がかかったもので、当初の想定の倍どころかというくらいに伸びに伸びた制作となりました。
しかもその間もみっちり作っている訳ではなく冷却期間的な、なんだか今書いても満足いくものにならない気がしてすっかり止まっていた時期がほとんどで、単にプロット通りに書くだけでは伝えたいものが伝わらないように思えたので、その間はその時作りたい別のものを作ったり、まったく忘れていたり。何かもっといい伝え方がないだろうかと新しい要素や見解を考えたり探したりしていました。
そんな試行錯誤と模索。時に距離を置いたりを繰り返した中で、随分と自分自身も成長させてもらった作品でした。
サークル活動においてジャンルや形式問わず様々な作品を作ってきましたが、シナリオに関してはこれまでほとんど詰まったことがなく、あまり苦労した記憶が無いのですが、このクロニトロニカの第二部から完結までに関してだけは別で、今までこんなに詰まった手強い作品は初めての経験でした。
その苦労の痕跡のようなものとして、第二部からかなり難解な内容で分かりづらくなってしまったという反省がありました。
これは当初の予定よりももっと大きなものを狙ってしまったせいでもありますが、読者にとって分かり易く無難な道でいくこともできました。しかし当時ビジュアルノベル版の第一部が完成した時に、もしかしてこれは同じテーマでももっと深い部分まで迫れる作品となる可能性があるのでは? と思ってしまったことがきっかけでした。
そのおかげで随分とシナリオ面での苦労を背負い込むことになった訳ですが、この割と無謀なチャレンジのおかげで当初の予定よりも随分と先の地点にまで到達できた成果には本当に喜んでいます。
とはいえこれですっかり満足しているという訳ではなく、まだまだ探求と研鑽をしていきたいと思っています。
これまでのシナリオ制作を振り返ると、とても固く難解なものをどう切り崩し、分かり易く小分けにしてちゃんと順序よく並べるかを考えるのは大変なことでした。
しかしこの大変さを経験することによって、他の作品のシナリオ作りがとても楽に感じられるようになりました。これは高速道路を下りて、遅い速度の一般道を走ると随分とゆっくりに感じる高速道路効果のようなものかもしれません。
あとがきなのに少し長くなってきてしまったのでこれで最後になりますが、本当にこれでようやく長年の積み荷を下ろしたような解放感があります。
最終巻なので当たり前ですが、物語を広げる方向ではなく閉じる方向へ。この作品のテーマ、そしてタイトルの意味を回収する巻にする、という目的は自分としては達成できたと思っています。
ともあれ作者の苦労はあくまでこちらの都合なのでそれは置いておいて、単に何かしらどこかしらの箇所で興味深いもの、または楽しめるものがあったとしたらそれだけで十分です。
それではまた次の何かしらの作品のあとがきなりでお会いできることを願いまして。
二〇二四年 十二月 十日 halom