プリズンブレイクのシーズン２が残した教訓と言えば、修学旅行と同じく「家に帰るまでが脱獄です」ということでしたが脱獄ものの名作映画も数多くあり有名な『大脱走』。豪華二大スターが共演した『大脱出』。実話を元にした名作『アルカトラズからの脱出』あるいは映画界に燦然と名を残す名作『ショーシャンクの空に』も。
共通の目的を共にする仲間たちとの友情があり。時に裏切りもあり。
虐げられる新入り。ベテラン勢達の派閥争い。刑務官との反目、あるいは協力。買収。駆け引き。
緻密なそして時に大胆な計画。
日々ほんの少しずつ、気の遠くなるような地道な作業をこつこつと積み上げる脱獄の準備とその段取り。
徐々に近づく決行日とともに不安と期待が入り混じる日々。
そして脱獄時の手に汗握るハラハラドキドキ。
自由を勝ち取るまさにその瞬間のカタルシス。圧縮と開放の見事なコントラスト。
脱獄というたったひとつの目的（テーマ）の中にこれだけの様々なエンタメ要素が溢れんばかりに詰まっている、まさにエンタメ界の王者コンテンツと個人的には思っているのですが、今回はそんな脱獄が自宅にいながら手軽（？）に気軽に楽しめるSteamゲームをウインターセール対象のものから少しばかりご紹介してみます。
その１：The Escapists 2
公式で日本語には対応していませんが、有志による翻訳modがありました。
まずはチュートリアル面から
まずはチュートリアル面の「Precict 17」（第17分署）から始めればこのゲームの概要と操作方法がつかめます。
ここをクリアしたら次のステージはいっこ飛ばして「Cougar Creek Railroad」（クーガークリーク鉄道）のマップをやってみるといいかもしれません。
なぜならここは制限時間内に脱出するだけという超シンプルな面なので、更にこのゲームに慣れることが出来るからです。
ここをクリアしたら次はひとつ戻って「Center Perks2.0」（センターパークス）のステージがおすすめです。
ここも難易度はイージーというだけであって自由に動ける時間が多く、脱獄用のアイテムがすぐに用意されたりとかなり緩く。しかも何も考えずに指示通りやれば簡単に脱獄出来ます。
始まったらまずはチュートリアルでのプレイヤーキャラ、Robinson（ロビンソン）というひげもじゃ（赤いビックリマークがついているキャラ）に話しかけることにより、以下の三つの脱獄方法が提案されます。
左から順に
その１：壁を壊して（ハツりで）脱出。
その２：フェンスを切って脱出。
その３：穴を掘って脱出。
この三つのうちのどれか好きなものを選んだら後はロビンソンの指示通り、一日のこなすべきルーチンの合間合間に看守たちの目を盗みながらアイテムを集めたり、それらを組み合わせてクラフトしたり等の作業進めるだけで脱獄できます。
ルーチンは点呼や食事など、その時間その場所にいないとペナルティをもらうので、時間内にちょろっと顔だけ出せばOKです。と監視はかなり緩い感じなので時間的な制約としてもそこまで厳しくはありませんでした。
地下の穴を掘ったら。
掘った土をトイレで処理したり（ちなみに一度に大量に流すと溢れて大惨事になります）
ダミーを作って寝かせておいたり。
とそんな感じで無事ここをクリアしたらさて次の脱獄場所はどんなもんかな、といった感じに映画大脱出の主人公レイ・ブレスリンの如く、プロの脱獄請負人の気分になれること間違いなしです。
そしてプレイを進めていくと、海外ドラマや洋画などで刑務所の様子は割とよく出てくるのですでに履修済みの方には不要かもしれませんが、このゲームをプレイすることにより刑務所内のでふるまい方、基本的な作法が身に付いていることに驚きます。
・例えばプリズンブレイクのように歯ブラシなどのプラスチック製品をライターで溶かして型に流し込んで鍵を複製したり。
・アルカトラズのようにダミーの人型を作りベッドに寝かせて偽装してから、こつこつと真夜中の作業に勤しんだり。
・脱獄用に掘った土は看守に見つからないように処理したり。
・気に入らない奴は必ず監視カメラと刑務官の目の届かないところで「話し合い」をしたり。
・大体どの刑務所にいる調達屋の品ぞろえはこまめに確認したり。
・大事なものはガサ入れの時に見つからないようにちゃんと隠しておいたり、などなど。
と、これでもうベテランから何かと「おい、フィッシュ（新入り）」とからかわれることもなくなり、むしろ今度は逆に「首のボタンを留めな」と後から入ってきた新人に言ってやることが出来るようになるかと思われます。
ひとつのマップで様々な脱獄方法が試せる自由さと、工夫が生きるゲーム
そして次の「Rattlesnake Springs」（ラトルスネイク スプリングス）のマップに来るとこのゲームの本当の面白さと自由度に気が付きました。
というのも、ここでは脱獄方法の指示は無く、プレイヤーが好きな方法で脱獄することが出来るからです。
つまりひとつのマップでも脱出方法が何通りもあり、好きな方法で脱獄できる自由さがありました。
こうしたステージごとの特色や効率。あるいは手持ちのアイテム、手に入ったアイテムによって臨機応変に計画を立てるという考え工夫する面白さは他にあまり思いつかないものでした。
若干冗談っぽい紹介になってしまいましたが、本当に面白いゲームというのは（あくまで個人的な見解ですが）あらかじめ製作者の用意した正解あるいは最適解の道にあたるまで何回も試行錯誤して総当たりで見つけるものではなく。
プレイヤーごとに。あるいはそのプレイごとに、単に高スコアや脱出する早さだけでなく色々な方法を試してみたりというプレイヤーの考えや工夫が生きて、人それぞれの正解があって、楽しみ方も数多くあるゲームというのはなかなか無いかと思います。
ということでかなりおすすめです。
その２：Prison Architect
ショーシャンクの空になどでなんとなく感じ取ってはいたものの、刑務所であってもちゃんと利益を追求するごく普通の企業経営と変わらない部分があるという新たな発見をさせてくれたゲームでした。
実際にプレイしてみると色んな建物や設備を作ったり。金銭的、物資的、人的リソースの配分など、各種のリソース運用とそれぞれのバランスの調整。スケジュールの管理ももちろんのこと、果ては刑務所内のQOLの向上までも。
と、基本的にやることはオーソドックスなシミュレーションゲームと変わりませんがそこに刑務所運用という新たな切り口の刺激的なスパイスが入れられることによって、実に面白いゲームに仕上がっています。
スタンダードなものは大体やり尽してしまったからたまには一風変わった感じのシミュレーションがやりたい。
あるいは他のゲーム（アナザーブリックなど）
をやり込んだ腕がどこまで通用するかちょっと腕試したいなんて方などに是非おすすめしたいゲームです。
こちらもまずは全５面のチュートリアルで概要をつかもう
このゲームで個人的に特に面白い要素だなと感じたのは、チュートリアルの第四面で学べますが、新設した教室で囚人達に刑務所内の仕事に就労させるために各職場の基礎教育を施したり、一般教養を学ばせたり。アルコール中毒や薬物依存の囚人の為の更生プログラムを行ったりと。
単に収監した囚人を監視し管理するというだけではなくて、ちゃんと社会復帰することを手助けしているという社会貢献的な意義あることに携わっているという気にさせてくれるところです。
ちょうどショーシャンクの主人公アンディがトミー（後からやってきた囚人）に読み書きを教え、高校卒業資格をとらせて立派に社会復帰することを手助けすることに喜びを感じたようなものと似ているのかもしれません。
仮釈放審査の為の面談部屋もちゃんと作れて、これもなんだか映画のワンシーンを思い出してつい顔がほころんでしまいます。
そこそこ長く運用していると、最初こそ囚人たちをわがままで何かとすぐに問題を起こす粗野で乱暴で面倒な奴らだと思っていたのに段々愛着が沸いてくる不思議な感覚も味わえるかと思います。
おまけの一作：Criminal Girls Invite Only
PSPからの移植版としてPS Vitaで出ていた『クリミナルガールズ INVITATION』のSteam版、Criminal Girls Invite Onlyです。
概要
地獄の塔に集められた７人の少女たち。
彼女たちは、「半罪人」と呼ばれる犯罪因子。
そんな彼女たちのために用意された更生プログラム
その名も――“ヨミガエリ”
プログラムの目標は、塔の最上階へ登ること。
そうすれば彼女達の罪は償われ、
現世へとよみがえることができる。
主人公はそんな彼女達の指導教官として、
7人を最上階へ導く任務につく。
ただ、相手は超がつくほど個性豊かで少女たち！
そうも順調に行くはずがなく・・・！？
steamストアより引用
というように、主人公は指導教官となって「半罪人」と呼ばれる女の子達を率い、コマンド型の戦闘で経験値を得て、レベルアップしながらどんどん最上階を目指すといった感じのスタンダードなRPGです。
またこのゲームの特色である、キャラを（大体の場合ちょっとエッチな）おしおきすることによってステータスアップや新しいスキルを覚えさせることができます。
ふーん、別におしおきには興味ないけどやってみようかな。まったくこれっぽっちもおしおきには興味ないんだけどね、という方や。
あるいは規制版は何か損した気分になる、という方への注意点としては、Steam版はこのおしおきの表現に規制（音声がカットされて、画像の大半がピンク色の雲で隠されています）が入っていますので、是非有志の力（mod）を借りることをおすすめします。
有志mod
公式もmodの使用は認めていますので気兼ねなくmodを使って遊べます。
以下の一文が該当箇所です。
Will there be an uncensor patch? Not officially, no. But if fans wanted to make a patch or otherwise modify game files, that is fine. That will not be prohibited.
引用元
さいごに
まだ何か他のゲームもあったような気がするので、また機会があれば別の記事で出そうかと思っています。
