個人的には本編シーズン3が至高
ナルコスで一番面白かったシーズンは? と問われたら、本編のシーズン3と迷いなく答えます。
と言うのも、本編のシーズン3は主にカリ・カルテルがメインで、パブロなどの主要な人物たちが抜けている為、視聴前の期待度ははっきり言ってそこまで高くはなかったのですが、見ている途中からもうすでにこれは最高のシーズンだと確信しました。
何よりストーリーの運びが上手くてまったく片時も目を離せないわ、とにかく続きが気になるわで、最後らへんでは見終わるのが惜しいくらいでした。
とそんなことで、シーズン3が自分の中でも堂々の一番のシーズンとなった訳ですが、いよいよ今回のメキシコ編も後半にいくにつれ面白くなっていくのでは、という期待を胸に視聴しました。
いよいよ始まるDEAの反撃とレジェンダ作戦の結末が見どころ
シーズン1の終わりは、DEA捜査官の死亡そしてナルコス側(フェリクス)の逆転勝利という後味としてはかなり悪かったのですが、そのフラストレーションを吹っ飛ばすかの如く、シーズン2ではいよいよDEA、アメリカによる反撃が始まり、レジェンダ作戦へと突入していきます。
シーズン1の終わりにちょろっと出て来た、少しお調子者っぽいDEAのウォルトが武器を大量に持ち込んでまさにこれからの反撃を匂わせるもの凄くいい所で終わっている訳ですが、シーズン2ではそれ以降のお話。
つまりDEA、そしてアメリカの本気とキキの弔い合戦。拷問に関わった犯人を突き止め相応のつけを支払わせる、ともうこれだけですでにこのシーズンの面白さは保障されたようなもので、お話が気になるのは当然かと思います。
特に3人目のスノを捕まえる時の手際が見事過ぎて、とても痛快で面白かったですね。
と序盤から中盤は非常に手に汗握る展開が続いていきますがそのレジェンダ作戦の悲惨な結果や、ラストの国家間の利害や駆け引き上のどっちが勝ったかも微妙などこか煮え切らない。ぼんやりとした曖昧な勝利らしきものに落ち着くのが非常に現実的だなあと感じました。
今回のナレーションも秀逸で皮肉たっぷり
ナルコスと言えば時折挟み込まれる、当時の映像を流しながらのナレーションが、短いながらも時代の背景や物事の経緯なんかを的確にまとめていて相変わらず秀逸なんですが、なんというかつい笑っちゃうような面白くてしかも皮肉たっぷりの軽快な口調で語られるのが好きで毎回これがひとつの楽しみになっています。そして今回もちゃんとありました。
余談ですがこのナレーションてっきりシーズン1に出てくるマーフィーかと思っていましたが、ウィキを見ると今回のシーズン2のメインキャストであるウォルト役の方のナレーションだったんですね。二人とも声質が結構似ているんじゃないかと思うのは自分だけなんでしょうか。
とにかく密度が高く、無駄なシーンがほぼなし ついでにナルコス本編キャラも
初見ではあまり気がつきませんでしたが、内容の密度が高くほぼ無駄なシーンがないので、非常にテンポが良いと2周目では感じました。
特にドラマだと映画より大幅に尺をとれる為か時々このシーン必要かな? ということがあったりしますが、今回のメキシコ編でもほぼそういったシーンがなく、だれずに最後まで緊張感も持って視聴出来ました。
場面の転換も目まぐるしくなく適量で、よく冒頭なんかにある象徴的なシーンや伏線があってもちゃんと回収も早いので、そこまで混乱することなく話が追えました。と言ってもやっぱり2周目に見た時の方がより話の内容が頭に入ってくる感じでした。
後は本編でよく出て来たカリ・カルテルのパチョやナベガンテ、ホルヘがまた見られるのが地味に嬉しいですね。
前の本編でメインキャラなので当たり前ですが出ずっぱりで、ずっと見ていたキャラがこちらではちょい役くらいの感じで出てくるのが妙に不思議な感覚になりますが、こういう過去のキャラが出てくるとやっぱり盛り上がりますね。
2周はぜひ推奨したい そしてまたシーズン1からの視聴もおすすめ
とにかく衝撃的な内容だったり、ど派手な演出だったり、メインのキャラなんかでももの凄くあっさり死んだりするのでとにかく翻弄されるというかついその場その場の出来事に心を奪われしまうので、なかなかその裏にある一連の流れがつかめなかったのですが、次に何が起こるか分かっている2周目ではゆっくりと落ち着いてちゃんとストーリーを追えるのでおすすめです。
しかし改めて考えると2周も見られる面白さがあるのも凄いですね。
メキシコ編は一見すると本編に比べて見劣りするのでは、と思う方もいるかもしれませんがかなりしっかり作り込んでいる為か何度も周回視聴に耐えうる程のナルコスの面白さはきちんと顕在でした。
シーズン1を見直すとより面白い
シーズン1を見なおしてひとつ分かったことですが、シーズン1の第7話で単なるアメリカ人観光客をDEAのスパイと思い込んだラファ達と。
実際はそこまでの進展は無かったのにDEA捜査官が何を掴んだのか、本国の外交委員会の調査官にどこまで何を話したのかをなんとしてでも探ろうとするメキシコ政府(国防大臣)とが、同じ疑心暗鬼というところで妙な符丁があるなと思ったのですが、制作側の意図なのかどうなんでしょうか。
あらゆるリスクの点からフェリクスは捜査官の誘拐に反対したものの、スノの叔父である国防大臣なんかがラファを焚き付けて実行させたことでもう後戻りできない、引き返すことの出来ない大きな転換のポイントを迎えてしまったのがまさにこの地点だった訳で、更にそこに続くネトとフェリクスのやりとりでネトの提案にのっていたら、あそこまでの破滅はなかったんじゃないかと思いますが、それは結果を知っているから、そう言えるだけかもしれません。
ただ現状のままではいずれ主導権を奪われコントロールされるのが分かっている辺り改めてフェリクスがかなりの切れ者で、時勢の機微を掴むことに長けていたことが分かります。
第8話のラスト付近は非常に重要なシーンが詰め込まれていますね。
そして9話の終わりごろ付近は本当に悲しいですが心揺さぶられるものがありシーズン1で一番好きなシーンです。
必死にキキを探すシーンと交互に『シャーロットのおくりもの』という絵本を、キキの妻が子供に読み聞かせるシーンが流れますが、その絵本の中の「誰も蜘蛛の活躍を知りませんでした」という台詞には思わず涙が滲みましたが、まああれだけ大々的に新聞の一面に顔が載ったのなら報われてはいるのかなとも思います。
その結果目をつけられて誘拐されてしまうというのがなんともやるせない気持ちになりますが。
こういう細かい発見が沢山見つかるので、シーズン2を見終わったところで二周目に突入する前に改めてシーズン1を見返すとより面白いんじゃなかと思います。
次のシーズンは一体どんな感じになるのか? 勝手に予想
今回でいよいよ(ようやく?)ボスのフェリクスが退場したことで、劇中にちょいちょい出てたエルチャポがメインとなってくるのかは不明ですが、もしそうだとしたらかなり面白くなりそうです。
余談ですが、ナルコスのエルチャポ役の方はバリーシールにも出演していたそうです。まったく気が付きませんでしたが、ホルヘ役でした。
ネトフリに『エルチャポ』というまさにそのままのドラマがきているので、それもこれから視聴しようと思っていますが、というか最近はベターコールの最新シーズンも来るしで、この時期に色々重なり過ぎで視聴時間がもっと切実に欲しいです。
そう言えばシーズン1の予告で使われている曲はGrandmaster Flashの『White Line』というまさにタイトルまんまのものを示した曲なんですが(本編でもシーズン1の何話か忘れましたが、ちょこっと聴けます)大麻に変わる新たなコカインというとても危険で高価な薬物が登場したシーンに入れ込むセンスには脱帽です。しかし何度聴いてもかっこいい曲ですね。
Steamにあるゲーム版が気になるところ
ナルコス・カルテルウォーズというスマホゲーム版は結構やり込んだのですが、なんと今度はPCゲーム版になってSteamで販売していました。
が、レビューをちょっと見るとX-COMの劣化版だのawful(ひどい)だの結構辛辣な意見が並んでおり購入を躊躇いますが、映像を見る限りはそこまで悪くなさそうかなと、とりあえずウィッシュリストに入れておいたので、セールが来たら買って感想でも個別の記事か何かで書いてみたいと思っています。
Narcos Rise of the Cartels