【制作連載企画・番外編】 これで簡単に物語が作れるかも? プロットの作り方5選

2020/03/16

小説テクニック・Tipsなど 制作連載企画2020

さあ何か新しい物語を作ってみよう! とした時にまずはその構成を考える必要がある訳ですが、枠組みも何もないまったくのゼロから作るのは大変なので、これまでの長い間先人達の苦労と試行錯誤により培われ、積み重ねてきた手法を使うことによってある程度決まった型や手法、ガイドラインがあると作り易くなるのでは、ということでその手法を五つざっとご紹介します。



その1:単語カードを使って、パズルのピース型作成法


「単語カード」で画像検索するとこんな感じのものが出てきます。

 
 
英単語なんかを覚える時にお世話になった方もいるかと思いますが、似たものとしてブロックタイプのメモ帳でも付箋紙でも代用できます。
特に付箋紙はぺたぺた壁に貼ったりはがしたりも出来るので、より便利かもしれません。

よく海外ドラマなどで、ホワイトボードなんかに貼ったでかい地図の上にピンを刺したりそこから紐で結んだり、容疑者の写真などをぺたぺた貼っていたりするのを見ますがあれの雰囲気でやるとより面白いかもしれません。

やり方

方法は自由ですが、基本的なやり方としては表にそのシーンタイトルを書いて、その裏に簡単な説明を付け加えます。

こうしてひとつのシーンや一回のやりとりなど。物語を構成している要素を最小単位にまで分解してピース化し、あれこれ並べ替えたりして互いの最適な組み合わせを模索、そして物語のスムーズな流れを整えたりするまさにパズルに近い作業です。

これにより特に時系列がややこしかったり、本流と支流(SIDE視点)が複雑になるお話もとても管理もしやすくなるメリットもあります。
また全体の構成も把握しやすくなります。
都度書き込みが出来るように大きな台紙を用意しておいて、その上に並べるとより良い感じになるかと思います。


その2:あらすじ作成法


まずは適当なあらすじ(出来る限り面白そうな)をでっち上げ、そこから想像力を駆使してちょっとづつその続きを広げていくやり方です。

小説の表紙の裏や、映画やドラマなど。とても面白そうなあらすじを見ると、そこからどうなるんだろうという期待感が煽られますがそれを利用して、例としてこんなあらすじがあったとしたら(その段階では面白いかはさておきとして)あるいはこんな具合になっていくんじゃないかな、と。
その想像を活かして物語を作るというとてもお手軽な方法です。

他には二つ以上のあらすじの良い所だけをとって組み合わせるあらすじミクスチャー法というのもあります。
これは組み合わせ次第では普通の発想では出来ないものや結構予想外のものが出来るので結構おすすめです。


その3:分割法


まず始まりを作る。
終わりを作る。
その間を作る。

最後にこれらをひとつのパッケージにする。

これをシーンごとに、あるいはチャプターごとに何回か繰り返すと簡単にという昔から割と有名な手法のひとつです。

またこれと似た方法としてはマトリョーシカみたく(あるいは入れ子式に)一番大枠(外側)の始まり、終わり、その間というものをひとつの固まりとして、その中に更にそれぞれの序盤、中盤、終盤を作るやり方もあります。


その4:ピークポイント作成法



物語で一番盛り上がる山場部分をまず先に作り、その次にそれがどう終わるか。或いはどう始まるかを考えて付け加え、徐々に物語の体裁を整えていく手法です。

若干上記の分割法と似ていますが物語で一番盛り上がる、一番の見どころとも言える箇所を先に作ることによってシーンの主従関係が全て一番のシーンの為のものとなり、全体的に割とまとまった感じのものが作れます。


その5:スタンダードに起承転結、序破急で作る


物語を作る上でやはり助力となるのが、昔からあるスタンダードな起承転結になるかと思いますがこれも上記の分割法と同じく

起パートの起承転結
承パートの起承転結
転パートの起承転結
結パートの起承転結

という風に各パートやチャプターごとに更に起承転結を作ることでより細かい物語の運びが作れるようになります。

割と人によって起承転結の解釈が違ったりするのが面白いところなんですが、自分個人としてはこう解釈してます。

起 : 物語のはじまり 軽い設定や舞台の説明 登場キャラのお披露目

承 : 広がりの部分。起から更に物語が進んでいく。転までのつなぎ部分。

転 : 転換期。大きなトラブルやら、問題が発生。一番盛り上がるシーンが入ることが多い。

結 : その問題の解決。大団円。

大体の目安の分量としては

起 : 10~20%

承 : 20~30%

転 : 30~40%

結 : 10~30%

映画ドラマ小説漫画アニメなど色々なものを見てきましたが、どの物語も大体このくらいの割合になっていることが多い印象です。
もちろん例外もあります。


序破急

序破急(じょはきゅう)とは、日本の雅楽の舞楽から出た概念であり、能楽、連歌、蹴鞠、香道、剣術、抜刀術、居合道、茶道[1]など芸道論で使用される言葉である。脚本構成としては、能に限らず、浄瑠璃および歌舞伎等においては、 日本では中近世以降、伝統的に用いられてきた構成である[2][3][4]。映像分野の脚本構成においても、序破急の同義語である三幕構成が国際的に主流となっている[5]。また、文章構成などにおける三段構成(パラグラフ・ライティング、三幕構成等)を指す概念としても用いられる。
wikipedia序破急より引用


次の序破急は三幕構成と呼ばれるものでもっと簡単で、たった3つの基本構成で物語を作ることが出来ます。
その三つとはwikiによると設定、対立、解決で、その割合は1:2:1とのことです。
三幕構成の項目のwiki自体もの凄く長いですが、かなり物語づくりの為の勉強になるので一読をおすすめします。

三幕構成
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%B9%95%E6%A7%8B%E6%88%90


おまけの余談1: 場面(シーン)ごとに常に5W1Hをあらかじめ考えておく


大体の大枠の構成は出来たけれどもではその中身。肝心のシーンはどうやって作るんだろう? という疑問が出るかもしれませんので、その作り方の方法のひとつとして、有名な5W1Hを使った方法がとても便利です。

5W1Hとは

Who : 誰が
When : 何時
Where : 何処で
What : 何を
Why : 何故(どういう理由で)
How : どのように行ったか

こうしてあらかじめ伝えるべきことを明確にすることで、そのシーンに必要な情報を過不足なく設定できるという訳です。
よくそれぞれがばらばらにこの5W1Hごとに書いた紙を箱に入れて、無作為に取り出して組み合わせるゲームがあったりしますが、それとまったく同じものです。

いきなり場面を書き出す前にあらかじめこのテンプレートの項目を埋めることによって、何を書くか迷ったり途中で詰まることが減るという仕組みです。

ただしこの5W1Hの情報すべてを本文にいちいち書くと説明的過ぎてくどく感じることもあるかもしれませんので、あくまで裏の設定としてとどめておいて必要に応じて情報の取捨選択をするひと手間が必要になるかと思います。


おまけの余談2: 項目オリエンテーリングになるのはなるべく避けたい



これは自分一人が勝手に思っていることなのであえて書くか迷いましたが、例えばその場面ごとにこなすべきノルマ(会話ややりとり、出来事など)だけをさっと済ませてぽんぽんと進めてしまい、足早な感じになるのと同時にその前後のシーンの繋がりがいかにもぶつ切りっぽい印象になることです。

あらかじめ用意された箇条書きの項目を淡々と次々にこなしていくだけだと割と起こり易い現象かと思います。

枠をあらかじめ設けるのはとても便利で有効な手段ですがたまには枠をはみ出したり、壊したり。時には予定や計画から脱線したり違う方向にいったりすることで予期せぬドラマが生まれることも多々あるかと思います。


さいごに


更に余談ですが『指輪物語』という超有名ファンタジー小説がありますが(映画版のロードオブザリングです)序章からホビットについて延々と解説が続くという、まさに初見の心を折るような一番最初は読み易く入り込み易く目を引くシーンから始めるなんていう定石を思い切りぶん投げていますが、そこをなんとか頑張って読み進めると凄く面白いことに気が付くという、ああ小説ってこんなに自由なものなんだなと知るいい機会でした。

と、最後の最後でちゃぶ台をひっくり返すような話になってしまいましたが、他人にプレゼンする時に用意する様なちゃんとしたものとは別として、物語の構成は慣れたら無意識に出来るくらいになるかと思います。

また人によってはまったくプロット無しにいきなり感覚だけで書き出せる人も多いので、あくまでひとつの例、参考程度としてもらえばありがたいです。

とはいえまだお話を作ったことがない方。まだ作り始めて間もない方にはこの昔から活用されているテンプレート群は確実に助力にはなるはずですのでよろしければ是非使ってみてください。

以前に書いた記事ですが、これもお話づくりの参考になりますよ。

物語制作に役立つ、神話の法則

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個人サークル「elh(エル)」及び所属制作サークル「future extra」にてオリジナルの電子書籍作品、ヴィジュアルノベル、RPGなどを作っています。 無料作品もありますのでお気軽にどうぞ。各作品の詳細及びダウンロードはelhのサイト及び各サイト様へのリンクにてご案内しております。 ハンドル名の由来は映画『2001年宇宙の旅』のHALプログラムを簡略化したものです。

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