各シーズンの概要
全3シーズンで主な内容としては……
シーズン1(全9話)
ミゲルの退場のその後(ナルコスだと1989年4月8日に逮捕となっている)
からアベンダーニョ兄弟との抗争。一回目の収監。
シーズン2(全9話)
監視の甘い刑務所への移送。一回目の脱獄。
アベンダーニョ兄弟との抗争の末の勝利。
アメリカとの国境付近までの縄張りの拡大による、チェンテやカノ。アルトゥーロとの内部抗争。
シーズン3(全12話)
内部抗争の勝利の末、メキシコ最大のカルテルに。
二回目の収監と脱獄。逮捕(2017年)
という配分になっていました。
史実を元にした創作ドラマ?
最後に収監されたのが、2017年の1月とまさについ最近、つまり現代にも続くお話とも言えますが実際の史実を元にしていることは間違いないことは、時折差し込まれるニュース映像(メキシコ大統領選の様子を含む)などから判断できます。
ですがこのドラマのもう一人の主人公とも言える、大統領となるべく大きな野望を秘めたコンラド・ソルという恐ろしく頭の切れる人物で、しかも仲間を平気で裏切る冷徹さのふたつをいかんなく発揮しメキシコ政府内の要職を上り詰めていく様子が描かれていますが、結局ドラマの最後まで長年チャポと癒着し続けていた罪が明かされることなかったです。
最後にソルが捕まって洗いざらい全部喋るのかなと予想していただけに、これはかなり意外な結末だったのですが、この人物が実際にいたのかどうか、ちょっとネットで調べた程度ではよく分かりませんでした。
なのでナルコスと同じく大筋の部分は史実で、一部の人物や細部は創作を交えているのではないかと勝手に想像します。
どうしてもナルコスと比較してしまう
このドラマを見ているとついナルコスと無意識に比較してしまっているのですが、特にそう感じた箇所を挙げてみました。しかしながらこのドラマの制作時期を考えると、ナルコスが影響を受けた部分もあるかもしれません。
・ナレーションがない
ナルコスと言えば、時折入る史実の映像をバックに流しながらの軽妙で皮肉の効いたナレーションが魅力のひとつだと思っていますが、大きく物事が動いた時など、まさに適格なポイントで端的に分かり易く、どうなったのか。結果どういった影響を及ぼしたのかを説明してくるこれが個人的にとても重要だったんだなあと改めて認識しました。
というのも、キャラクタの喋るセリフがちょっと説明口調になり過ぎている箇所が見受けられたからです。それにしてもあのナレーションにはこんなにお話をスムーズにする大きな役割があったとは、とこのドラマを見て思い知りました。
・もうちょっと分かり易く短く簡潔に出来そう
メキシコ編の構成の無駄の無さの妙を見た後だと、よりそう感じたのですが、このシーンは果たして必要なのだろうか? と思うと気持ち的にだれてしまうのですが、そんな箇所がいくつかありました。
それとたまにシーンが前後する箇所と、もしもの話があって時系列的にどうなっているのかやや混乱しました。
・ナルコスの絶妙なバランス感
例えばナルコスだとカルテル側、DEA側とどちらに肩入れして見るでもなくニュートラルな視点で見ても(もちろんどちらかに肩入れして見てもいいと思いますが)絶妙なバランスで、ものごとの推移を見ているだけで十分過ぎる程ドキドキハラハラして面白かったのですが、題材からしてどうしても視点がチャポがメインになるのは仕方ないのかもしれません。
・エピソードごとのタイトルがあれば尚良かったのでは
ナルコスに限った話ではありませんが、ナルコスだと想像力が刺激されるような象徴的なタイトルが各話についていますが、このドラマにもちゃんとタイトルがあった方がより良かったのでないかと思いました。
・濃いキャラがもっと多ければ……
メキシコ編に出てくるドン・ネトにそっくりのイスマエルや、無茶苦茶戦闘能力の高いカノなど濃いキャラはちゃんといますがもうちょっと、特にDEA側にもキャラの立ったキャラクターを目立つように取り上げたりメインに据えてみたりしたら尚面白かったのではないかと感じました。
けど続きが気になってどんどん見たくなるくらいに面白い
上記のナルコスとの比較や、最後の最後の場面がかなり急ぎ足というか割とあっさりとした感じだったりすることを差し引いても、続きが気になって切れ目なくどんどん見たくなるくらいには十分面白かったです。
もしナルコスのメキシコ編が楽しめて、なおかつエルチャポや他のカルテルや人物たちのその後どうなるのか見てみたい、という方にはおすすめできるかと思います。
ナルコスのメキシコ編のシーズン3が同じ展開になるかはまったくもって分かりませんが、ある程度史実をなぞっているので大きなポイントでは同じになりそうということで、ナルコスのシーズン3のネタバレになる懸念はあるかと思われます。
さいごの小話 車と食文化
劇中、結構な頻度で日産の自動車を見るなあと思ってウィキペディアで調べてみると
特に、日本企業としては最初期の1966年7月にメキシコ現地工場での自動車生産を開始した日産自動車は、同国日系自動車生産工場としても初でメキシコとの関わりも深く、サッカー中継番組でもスポンサーになるほどの深さでもある。wikipedia"メキシコ"より引用
とのことで、なるほどと納得しました。
そしてちょっと面白かった項目にカップラーメンの話があって
近年はカップラーメンがメキシコ国内で広く普及しており、中でも東洋水産の「マルちゃん」ブランドが市場シェアの約85パーセントを占めるまでに成長している。wikipedia"メキシコ"より引用
こんな風にメキシコと関わりの深い日本企業があることを知るのは面白いですね。
食文化繋がりで、メキシコ料理と言えばタコスですが、たまにスーパーなんかでサルサソースを買ったりもしますが、日本でももっとお手軽にタコスが食べられるようになれば良いなあと思うばかりです(単に近場にタコベルがあればいいだけの話ですが)
以前同じくネットフリックスにタコスを題材したドキュメンタリーの『タコスのすべて』というのも面白かったので、おすすめです。
ナルコス メキシコ編シーズン2を見終わりました