デカダンスとは?
Deckadanceは、世界各国のEDMやHIP HOP、クラブ(ダンス)ミュージック系のトラックメイカー・ビートメイカーが愛用していることで知られている音楽製作ソフト『FL Studio』を作ったImage-Line社製のDJ用PCソフトです。
なんでデカダンス? ※個人的な話です
DAW(作曲・編曲・編集ソフト)の中では特にFLstudioが個人的に気に入っててずっと使っていたことから(もちろん作る曲のジャンルによりますが、数あるDAWの中で特にFLstudioがおすすめな理由がいくつかありますが、今はさておき)この製品を知った当時は、同じImage-line社製のソフトだし、おまけにこういう系統のソフトにしてはかなり奇抜なパッケージ絵だったこともありずっと気になってはいたものの、DJ関係にそこまで興味がなく、特にDJミックスも作らないだろうとことでスルーしていました、が。
(画像注釈)
このようにパッケージにサイバー感のあるキャラがでかでかと描かれています(おそらく店頭処分品だったためか、パッケージが少し汚れているのはご容赦ください)
FL studioのFLちゃんというマスコットキャラといい、遊び心があるソフトウェア会社なのは間違いなさそうです。
と、話は戻ってそのまま何年かが経ってふとAmazonを覗いた時に、Amazonに出店している個人店の店頭処分品セール価格でかなり安くなっていたので、これはいい機会ではと勢いで買ってしまいました。
それから暇な時にちょこちょこ遊び半分でいじったり。
「NetflixがとにかくHIP HOP系の宝庫だったので、おすすめ動画・番組をざっとご紹介」の記事でも書きましたがヒップホップ音楽に興味が出て来たりということがあり、一度あらためてちゃんと触ってみようと思ったところ、ウェブ上にこのソフトに関する情報があまりないことを知り、ならばこうしてせっかく持っているんだし、一人でも知る機会が増えたり、少しでも誰かの役に立てばということで今回の紹介の流れになりました。
主な特徴
・簡単にDJ MIXが作成できる
複数の曲をスムーズに、違和感なく次々と繋いで流すのが主な目的として使われるかと思います。
・DJリミックス用の機能やエフェクト類が一通り揃っている
任意の場所に飛んだり戻ったり、指定した一部を繰り返したり。HIGH、MID、LOWの調整が出来る3バンドエコライザーと基本的なもの以外にも、あらかじめ読み込んだサンプルをすぐに出せるサンプラーもついています。
ボタンひとつで勝手に音をフェードしてくれる機能なんかも地味に便利な気がします。
サンプラーメニューを表示させた画面
・VSTiプラグインとして、他のDAW上でこのソフトを一つの楽器のように扱える
例えば作成している曲にDJ的な要素を取り入れたい時などに、このソフト自体をひとつのプラグイン(楽器)として他のDAW上で扱えたりもします。これはなかなか特筆すべきポイントかと思います。
またこれとは逆に、このデカダンスがホストとなって、他のVSTiとMIDIファイルを読み込んで使うことが出来ます。
・MIDIコントローラーにも対応
ソフトウェア上だけではなく、対応の物理(MIDI)コントローラーでリアルタイムで操作、演奏も可能です。
詳しくは後述の対応コントローラーの項目をご参照ください。
機能紹介
Dekadanceの強力でクリエイティブな機能
・自動ビート検出&シンク機能
・7FXフィルター&フル3バンドEQ
・スタンドアローンとしてWindowsまたはMacで動作
・VSTiプラグインとして他のソフト上で動作
・8つのVSTiソフトシンセ&エフェクトスロット
・8つの独立したサンプラー
・2つのステップシーケンサー方式のリルーパー(サンプルのスライス、および再配置)機能
・高品質なテンポ&ビートマーカー検出機能
・外部ハードウェアを使わずにプレイ可能
プレイリストを使って、プレイ前にあらかじめキューポイント、ループ、ビートマーカーで完璧にセットできます。
"Automix"機能では、Bass X-fade機能を使ってリズムトラックを自然にミックスすることができます。
8つのサンプラーに、ループや各デッキから録音したサンプルをロードできます。
オンザフライでトリガーしたり、バックグラウンドで再生してもミックスにシンクします。
DekadanceはVST準拠のソフトシンセやエフェクトが使えるため、制作に限界がありません。
以上パッケージ裏より引用
上記のようにDJミックスをする為の基本機能は一通り揃っていますが、なんといっても一番有用と思える機能が「シンク」機能かと思います。
シンク機能とは?
大体の場合二つの曲を繋ぐ時に、互いの曲のテンポが異なっている場合が多いため、スムーズに繋ごうとすると互いの曲の拍の頭のタイミングを合わせる必要があるのですが、そんな時にとても便利な機能です。
この波形画面に表示されている白いドットのマークが拍の頭の部分を示しており、これが上下でずれていると、なんとも調子外れなばらばらなタイミングになっている訳ですが、この「SYNC」ボタンを押すと一瞬のうちに自動で互いの曲の頭を合わせてくれます(といっても離れ過ぎているとうまくいかないので、ある程度自分で近い位置までもっていく必要はあります)
補足ですが、この「SYNC」の隣の「SLAVE」ボタンを押すと、一発でマスターテンポに合わせてくれますが、テンポが変わるとピッチも変わる為、その対処法としてあらかじめ画面上部のキーの横の鍵マークをクリックしてロックしておけば大丈夫です。
またPitchから個別に曲のキー(調)の変更も出来るので、より違和感の無い繋ぎが可能となります。
最低動作環境
PC:Intel PentiumⅢ(又は同等CPU)またはAthlon XP
windows2000/XP/Vista
DirectSoundまたはASIO準拠サウンドカード
MAC:Intel MacまたはG4(1.25以上)
OSX v10.4以降
CoreAudio対応サウンドカード
メモリ:512MB
空きディスクスペース:200MB以上
モニター:最低水平解像度1024ピクセル
以上パッケージ底面より引用
対応コントローラー表
ネイティブサポートDJコントローラーリスト(2009年7月時点)
・Allen & Heath Xone:3D
・Behringer BCD2000 & BCD3000
・DJ-Tech Mix Free, i-Mix & i-Mix Reload
・EKS Otus, XP10 & XP 5
・Hercules RMX, DJ Console MP3 & MKⅡ, DJ Control MP3 & DJ Control Steel
・Kontrol-DJ KDJ500
・Korg Zero4
・M-Audio XSession & XPonent
・Numark Total Control
・Omnitronic MMC-1
・OpenLabs DBeat
・Reloop Digtal Jockey
・Staton SCS-1d & SCS.3d/DaScratch
・SYNQ PCM-1
・Veatax VCI-300, VCI-100 & VCM-100
パッケージ底面より引用
今現在対応しているDJコントローラーは?
レコード部分をドラッグ操作(左クリック押しっぱなし)でスクラッチは一応出来るものの、フェーダーと組み合わせのリアルタイムでのマウス演奏でははっきりいって、やってられるかレベルの感じなのでスムーズに、ストレスなく思った通りに操作するには実機のMIDIコントローラーが不可欠だ、と思い知ったのでじゃあ対応しているものを探してみようとしたところ、いきなり躓きました。
パッケージ底面だけでなくソフト内の設定の中にもこんな対応品一覧がありましたが、なにぶんかなり古いソフトなのでショッピングサイトなんかを見てもこの一覧にあるコントローラーたちはなかなか手に入らなくなっており、さてどうしたものかと更に時間をかけて色々調べたところ、どうもこのコントローラーが対応しているっぽい感じだったので、すぐさま導入してみました。
behringer CMD STUDIO 2A
しかしながらターンテーブルをいくら回してもスクラッチが出来ません。MIDI設定からキーアサインの設定しようにも他のボタンはあるけど、肝心のターンテーブルの項目が見当たらず、設定できません。
ということでDeckadanceでの使用は泣く泣く諦めて、このCMD STUDIO 2Aに付属していたDeckadance2 LEをPCにインストールして試したところ、ちゃんと実機のターンテーブルとリンクしてスクラッチできました。めでたしめでたし(?)
と言いますか身もふたもない言い方をすると、新たにDeckadanceを始めるとしたら今更手に入り辛いDeckadanceを探すより、普通に売っているDeckadance2を買ってそれに対応しているコントローラーを探した方がまったくもって無難かと思います。
Deckadance2
http://www.stantondj.com/deckadance-2.html
さいごに まとめ
Serato DJなどの主要なPCDJソフトと比べるとどうしてもマイナー感があるこのソフトですが、個人的にはDJ用の基本機能は大体抑えているし、そしてなんといってもVSTiとして使えるので、他の作曲ソフトと併用して自作曲にDJ的なテイストを取り入れたりと。DAWとしてのアプローチでも十分面白いことが出来るポテンシャルがあると思っています。
もちろんスタンダードに本ソフトの録音機能を使って単純にミックスを作ったり流したりというのも良いと思います。
あれこれ書きましたがSteamなんかでも無料の体験版もあるので、試しに一度使ってどんな具合か、どんな用途に使えそうか使用感を試してみるのがおすすめです。